東京高等裁判所 昭和33年(ネ)200号 判決
よつて右取消処分の効力につき審究するに、およそ処分行政庁が自らその行政処分を取り消すことができるかどうかは、その行政処分について授権した当該法律がそれによつて達成せしめようとしている目的、その性質によつて定まるものと解するを相当とするところ、被控訴人が本件仮換地指定処分取消の理由として主張するところは、控訴人らの主張する「第十区」に対する区画整理事業の当初の計画に変更を生じ、第十区を新設道路によつて三個に区分することとなつたため土地区画整理法第五十二条、第五十四条の手続を新たにとらねばならぬこととなつたことと、「第十区」と本町通六番町との境界において三分五厘民有地が侵され、又測量に誤差があつたことが発見されたためであるというにあつて、右事実は、成立に争のない乙第三号証の一、二、原審証人矢野末一の証言によつてこれを認めることができる。そうすれば、被控訴人のなした本件仮換地指定処分の取消は、全く本件仮換地指定処分の過誤を訂正し、区画整理事業を速かに進行するためになされたものであつて、これにより控訴人らの権利、利益を侵害するものでもなく、現に控訴人らにおいてもこれが取消を求めている次第であるから、何ら法の授権の範囲を超越したものでもなく、また被控訴人の権限乱用行為であるということもできない。
(大江 猪俣 沖野)